その理由は、スピードが速くなったり、歩くよりも姿勢のバランスを保つのが難しくなったりするほど大脳の広範囲に血流が広がり、活性化されるためだ。
しかしすぐに難易度の高い運動はしない方がよい。なぜなら、障がいのある方のように大脳が未発達で、先を見越したり、自分を律することが難しい状態の人々にとっては、‶失敗経験″というものは、周囲からの励ましや奮起させる言葉を掛けられても行動に移しにくいものだからだ。失敗を続けると、その行動自体が、越えられない壁となってしまう。
したがって図のように、負荷を少しずつ、少しずつ増やしていく必要がある。そして今回の調査で、当事業所での支援によって、1時間以上集団で黙々と歩けるようになっている利用者さんが、次のステップ(中程度の運動強度心拍数130以上)では、どの程度行動が改善ができるのかを検証した。
運動強度については、1999年にアメリカでゼロ時間目の体育をやっていたネイパーヴィル高校が、世界23万人が参加する国際学力テストで理科で1位、数学は6位という驚きの結果を出したこと、それを参考にした学校がゼロ時間目の体育を導入すると、家庭の経済力に関係なく学力が上がったと報告された記事から発想を得た。
ネイパーヴィル学区内の学校で座学の前に、最大心拍数を平常時の80~90%に上げる運動(ランニングやサイクリング)をするゼロ時間体育を導入したところ、健康状態がアメリカ国内の標準のはるか上をいっていたとのこと。カリフォルニア州教育局(CDE)の5年間の調査の結果では、健康状態のよい生徒は試験の成績もよいと報告されている。
2002年に同局が行った再調査では、所得で分けて健康状態と学力の関係を調べたが、低所得層の中でも健康な生徒の方がやはり、学力が高かった。
またイリノイ大学の精神生理学者が、小学生216人を対象にして、CDE調査に準じた独自の調査を行った際も、学力に大きく関連しているのがBMIと有酸素運動能力だったと述べている。

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