自閉症、発達障害のある方にある特性の3つ目が早いパターン化である。
パターン化とは、ある特定の刺激に対して繰り返す決まりきった行動である。このパターン化の速さと強固さは、前の2項目で説明した通り、脳と体の未発達さと密接に関係している。
パターン化の例を説明する。
ある自閉症の男性Cさんが容器の中にある液体を空にするこだわりがあったとする(自閉症の方にはこのこだわりをもっている人が多い)。うっかりおうちの人が台所にペットボトルを置き忘れてしまった。そのペットボトルを見たCさんはペットボトルに飛び掛かって、中身を台所の床に撒いてしまう。そこでお母さんに叱られてしまうが、今度また台所にペットボトルが置いてあったら全く同じ行動をする。その理由は、お母さんに叱られた後に、撒く行動をしないように気を付けることができない(自制心が働かない)、この行動の代わりとなる代替案を考える(思考する)ことができないためだ。
大脳新皮質が発達していれば自制心も働きやすく、思考することもできるようになる。自閉症・発達障がいの方は、脳の未発達が原因で思考・自制が難しいうえに、同じ環境、同じ状況に置かれると反射的に同じ行動をとるようになってしまう。脳には、1度2度と電気信号が通ったルートは繰り返し通りやすくなるという傾向があるためだ。
加えて、このパターン化した行動を何度も何度も繰り返すうちに無思考状態が長引き、繰り返すたびにこのパターン行動は強化される。社会に適応できる行動がパターン化しているなら周囲も受け入れることができるが、不潔な行為や他者が困る行為は早目に社会に受け入れられる行動にしなければならない。この社会に受け入れられない行動が増えて、強固になった結果が強度行動障害だ。パターン行動の切り替えの際に脳と体が以前よりも発達していれば、より理性が働きやすく他者の介入がしやすい脳の状態になっているため、切り替えは容易であるし良い行動が定着しやすいのだ。

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