障がい発生の根本原因と発達理論⑥

食事の改善は主として家庭で取り組んでもらう必要がある。しかし活動量を増やすことは、日中過ごす学校や施設での課題になる。サッカーや野球などの球技、跳び箱やロッククライミング等の何かの用具が必要になる運動は分かりやすくて、見映えも良い。しかし、障がいのある人の多くは不器用(前述した原始反射が残っているため)で姿勢のバランスも取り辛い。その上用具を用いる運動をし続けて発達が進むかというと、あまり効果を感じられない。(気晴らしになるのであればそれはそれでよいが)。また、その不器用さによって、うまくいかないと感じ(失敗経験と認識させてしまい)、苦手意識から拒否になるようなケースも見てきた。

 だから、まず始めは「歩行」から始めることを勧める。障がいがどの程度であって歩行は一番簡単な運動だからだ。にもかかわらず、特別支援学校に通っている児童・生徒は格段に少ない。

歩行時間の比較を計算してみよう。通常学校の年間平均授業日数が196日~205日なので仮に200日とする。登下校合わせて30分歩いたとすると6000分、それを小学校は6年間、中学校3年間だから900時間歩いていることになる。特別支援学校の児童・生徒は車での送迎がほとんどなので0時間。重度の子は高校の登下校も送り迎えのため、1,200時間も歩行時間が少ない。加えて特別支援学校の授業での運動時間も少ない。

 人間は移動すること、運動することで脳を発達させてきた。石器時代まで、人間が生き残るためには、食べ物を探し、獲得するためには移動しなければならなかった。

 また、クロスワードパズルやナンプレ等の脳トレと呼ばれるゲームをすることは、認知症を防ぐためには効果がないと判明した。その代わり、認知症を防ぐ一番効果的な方法は‶1日5000歩以上″の歩行なのだ。(これも1日8000歩以上がよい等歩数についてはバラバラだが)、少なくとも運動することによって、成長因子が出るのが20分以上の連続した運動というのは確かなようだ。運動には「理性を働きやすくする」「ストレスホルモン抑制」「内臓機能の回復」「反射の軽減」「脳の発達を促す」といった効果がある。これは研究によって明らかにされてきた。

 脳を発達させるためには運動しなければならない。また歩行が続けられるようになってきたら少しずつ歩くスピードを速くしたり、坂道を歩いたり、山を登ったりと難易度を上げていく必要がある。

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この記事を書いた人

たんぽぽカンパニーは、2014年に設立された新潟県内一不思議な障がい福祉事業所です。
発達障がいや自閉症のある方の困った行動を軽減・無くすために、登山や歩行などの運動療法に力を入れています。

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