更にこの学者は健康な生徒とそうでない生徒を半々にし、それぞれ脳の電気活動を測定した。注意力、ワーキングメモリ、処理速度を比較したところ、健康であればあるほどより注意力に優れ、処理速度等もより良い結果を出したとのこと。
この研究に着想を得て、自閉症、発達障がい、ダウン症の方々の特性を考慮し、集団で運動をした。集団で運動する理由は、障がいのある方は前述の通り、大脳まで発達していない。そのため、誰かの指示やルールを守ることが難しいため、運動自体が難しくなる。ところが複数で同じ行動をすると、大脳辺縁系には周囲の状況に感応する機能があるため、言葉によって運動するように促すのではなく、‶運動する状況″を作る方が運動をしてもらいやすくなる。数人が動き出すとそれにつられて自分も動く、なんとなくそうした方が良い気がする、で動いてしまうのが人間というものであろう。
したがって今回の調査では、支援員の負担を減らすため、運動時間を確保するために、集団を使って動くようにした(今回の計測で対象になっていない方も一緒に運動していた時も多々ある)。また、20分以上という最低限の時間制限を設けた理由は、20分以内で心拍数を上げようとすると運動能力以上に運動強度を上げないといけないため、計測し続けるのが困難だと予想されたことと、運動と脳や精神に関わる文献では、20分以上というボーダーラインがよく出てきたためだ(15分という記事もあったが)。
また今まで支援をしてきた中で、歩行20分を過ぎると独り言や、飛び出し、手の振り払い等がおさまってきたため、「20分」には興奮を抑える(情報伝達物質のバランスを整える)、体の反射を抑える(大脳新皮質への血流が増えている)効果があることは実感している。

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